「BLACK DOCK」というタイトルに、大した意味
は無い。撮影中に見かけた標識に「瑞穂埠頭
north dock」と書かれていたのがきっかけだった。
dockという言葉の響きが気に入り、じゃあ今
僕が撮っているのは大黒埠頭から始まった
シリーズだから”Black Dock”だ、というわけ。
単なる駄洒落である。
だがそのタイトルで個展を行って以来、
自分の撮る写真が全て「BLACK DOCK的」だと
思うようになった。
何が「BLACK DOCK的」かはいまだに上手く
説明できない。説明しようとすると大事な物が
片っ端からこぼれてしまう。
でも他に、言い表す言葉は見つからなかった。
最初の写真集のタイトルを「BLACK DOCK」と
するかどうかは、かなり迷った。
訳が分からないのではないか、と。
でも、僕が見たのはそういう景色だ。
発表から6年が過ぎた今でも、このタイトルで
良かったと思う。
2014年10月 鶴田厚博